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2008年6月 8日 (日)

Hotarau1_3

今年は梅雨入りが早く、6月の声を聞いたらすぐに梅雨入り宣言が私の地方にも出されました
梅雨には紫陽花がよく似合いますが、まだその紫陽花も咲き始めといったところです

そろそろ蛍の便りも聞かれそうですね
私の子供の頃には、蛍は身近な生き物でした
私の実家の横に川が流れていますが、この時期になると、川のほとりに蛍の飛び交う姿が見られたものです
中には気まぐれな蛍が家の方に飛んできて、壁にとまって光を点滅させたり、低いところを飛んでいる蛍を捕まえては手のひらで優しくカゴを作り、蛍の青白い光を眺めていたものです
そんな蛍も本当に見かけなくなりました
水の綺麗なところで、蛍が見られるところは、今や観光の名所とさえなっています

蛍といえば、『北の国から』のファンである私にとって、懐かしい黒板一家の妹の名前でもあります
そういえば、父親の五郎が娘に蛍と名づけた由来を語るシーンがあったなぁ と思い出しました
私の中では、大人になった蛍に父親五郎が語って聞かせたように思っていたのですが、調べてみたら、何と第2話ですでにそのシーンがありました

蛍「父さん」
五郎「ん?」
蛍「学校で今日、男の子にきかれた」
五郎「―――何て」
蛍「お前の名前、どうして蛍っていうンだって」
五郎「―――(ぬい物をつづけている)」
蛍「どうして?」
五郎「――――」

五郎「むかし――父さんがこの村を出たときな」
蛍「うン」
五郎「父さん、家中のだれにもいわずに、こっそり夜中に一人で抜け出して――真っ暗ン中を富良野まで歩いたンだ」
蛍「――――うン」
五郎「そのころ――ここらはホタルがいっぱいいて――それがとうさんにまとわりついてな」
蛍「蛍、ホタルってまだ見たことない」

五郎「ホタルの光ってのは――チロチロ飛んでな。それが――父さんの、前や後ろや――まるで――行くなっていってるみたいで」
蛍「――」

蛍「だから私に蛍ってつけたの?」
五郎「ああ」
蛍「じゃあお兄ちゃんは?純って名前は?」
五郎「――」

五郎「あれはお父さんじゃない。――母さんがつけたンだ」

 
五郎の「そのころ――ここらはホタルがいっぱいいて――それがとうさんにまとわりついてな」という台詞を読み直して、私が一度体験した、幻想的な風景が思い浮かんできました
それは、学生の頃、山梨県にある友人の実家に遊びに行った時のことです
初夏でした 友人が「この辺りは水がきれいだから、蛍がよく見られるよ 今夜見に行こうか」という話になり、その夜、トウモロコシ畑を横切り、ワサビ畑があるほど綺麗な川のほとりに出かけました

そして、そこで見たのは、まさに蛍の乱舞でした
何百匹、いや何千匹といたのだと思います
不思議なもので、蛍の光の点滅のリズムが一致して、いっせいに光ると川の形が浮かび上がり、蛍の光の川でした そして、いっせいに光が消えると闇に閉ざされるのです
友人もこれほどの蛍を見たのは初めてというように、二人は声も出さずにただじっとその光の川を眺めていました 
今思い出しても夢のようなできごとでした
もう二度と見ることができない幻想的な光景だったのかもしれません


そうそう蛍といえば、もうひとつどうしても書いておきたいことがあります
あの「ぞうさん」で有名な詩人、まど・みちおさんの言葉です

「それから、私がよく覚えているのはホタルの匂いです。とてもいい匂いで、手にそっとつまんで嗅ぐと、まさに生き物という感じの匂いがする。ホタルは光もそうだけれど、あの匂いを表現することができたら、と思いますが、難しいことですね。」


「蛍の匂い」というのは、衝撃的でした
蛍といえば、あのはかない光がシンボルなのに、その光ではなく、まど・みちおさんは蛍の匂いを感じ取っているのです
私には全く思いつかなかった蛍の一面です

さて、今年はどこに蛍を見に行ってこようかな?
そして、今年は、蛍を優しく捕まえたら、そっと匂いを嗅いでみようと思っています



 

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季節2008年」カテゴリの記事

コメント

蛍はずっと何十年もの間 忘れてたことです
私の住む近所では 今はもう見ることができません

車で10分ほどの里山で
何年か前に 地元の有志が
沢にカワニナをまきました
その後数年間 蛍が繁殖し
自然のイルミネーションで多くの人々に
喜びを与えてくれました

今はどうなっているのか 
バニラさんの文を読んで
久々に見に行ってみようかなと思いました

投稿: セザンヌ | 2008年6月 8日 (日) 00時54分

蛍の乱舞する様子、私も見てみたいと思いました
蛍の光で周りの景色が浮かび上がる
それは一生忘れられない光景ですね
長く生きてきましたが、まともに蛍など見たことがない私です

「北の国から」思い出しますね その場面
父親と息子は、なかなか分かり合えないのです
息子が父親ともっと話をしたいと思ったとき、既に父親は居ない
そんな感じでしょうか

投稿: tetuya | 2008年6月 8日 (日) 02時37分

> 子供の頃には、蛍は身近な生き物でした
そうでした。
近くにある浅瀬の川にはシジミがいて、近所の友だちと一緒にシジミ採りに行った
ものです。足を掻き混ぜるとシジミが姿を現し、腰にぶら下げた籠に入れました。
これも、清流だから出来た事ですね。
そして、この川にもたくさんの蛍がいて薄暮になると、薄いほのかな明かりを
灯してくれました。
シジミも蛍も澄み切ったきれいな水を好みます。
懐かしい夕暮れまで遊んだ川は、いまはどうなっているのでしょう。
蛍やシジミの少なくなった今は、それこそ、蛍の郷とか云って観光地になってしまいましたね。

知り合いのNPOの団体も里山に清流を取り戻そうと頑張っています。
川の支流の至るところにビオトープを作って生態系に必要な生き物を生育しています。長い期間が必要でしょうが・・・「どじょっこふなっこ」のような自然が蘇ると嬉しいですね。

> 「蛍の匂い」というのは、衝撃的でした
蛍はハンドキャンドルとして手の平に包み込み、眺めていたことがありますが
匂いは嗅がなかったように思います。
こそばゆかったのは覚えていますが。

ことしは、ねこの額ほどの庭に箱庭のビオトープも良いかも知れないですね

投稿: 月の砂漠 | 2008年6月 8日 (日) 10時49分

家の近くに、蛍を育ててる所があるんですよ
先日、仲間4人で行きました、おばさんでも夜は一緒じゃないと、怖いので団体行動
4匹?いました、声に驚いて最後は1匹に<ごめん

蛍のために、カワニナも育てています<町内頑張ってます

京都御所の出水のところにも、ほたるが出るんですよ
要らない情報でした。。。。。

投稿: 夢見る夢子 | 2008年6月 8日 (日) 22時25分

セザンヌさん

最近、いろんなところで、蛍を育てているようですよ
自然の中だけでなく、あるレジャー施設でも何年か前から、人口の川にカワニナを放し蛍を育てているようで、最近はその数も増え、これから、蛍目当てに訪れる人がたくさんいるようです

>久々に見に行ってみようかなと思いました
セザンヌさんが取り組まれた、里山の蛍たち、今年も多く飛び交ってるといいですね
楽しんできてください*^-^*ニコッ♪

投稿: vanilla | 2008年6月 9日 (月) 17時01分

tetuyaさん

tetuyaさんは北海道でも、都会に暮らしていらしたから、あまり蛍を見られたことがないのでしょうか?
一度機会があったら、見てほしいですね 乱舞する蛍たち
それは幻想的で、きっとtetuyaさんの感性に響くと思います

>「北の国から」思い出しますね その場面
覚えてみえますか?
五郎と蛍がそんな話をしてる時、純はまさに北海道から逃げ出そうとしてたんでしたよね

投稿: vanilla | 2008年6月 9日 (月) 17時05分

月の砂漠さん

>近くにある浅瀬の川にはシジミがいて
私はシジミを川で見た記憶はありません
が、朝早くシジミ売りの人から母がシジミを買って、お味噌汁を作っていたような記憶があります(すいません・・・関係ない話になりました^^

ここ何年か前から、私の家の近くの田んぼには蛍が戻ってきたようで、平家蛍だと思うのですが小さな灯りをともしながら飛んでる姿が見かけられるようになってきました
でも、「ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし」という感じで、乱舞する姿は見られません

>「どじょっこふなっこ」のような自然が蘇ると嬉しいですね。
綺麗な自然を取り戻そうと頑張っていらっしゃる人たちに任せぱなしにならないように、考えていかなければいけませんね
ねこの額ほどの庭に箱庭のビオトープ、私も作ってみようかしら☆^▽^☆

投稿: vanilla | 2008年6月 9日 (月) 20時08分

夢見る夢子さん

もう、今年蛍を見られましたか・・・
私はまだ、見ていません
10分程車を走らせれば、蛍の飛び交う川に行くことができるのですが、小さい蛍なので、ちょっと物足りないです
やはり源氏蛍の乱舞が見てみたいです

>京都御所の出水のところにも、ほたるが出るんですよ
京都に蛍を見に行くのもなかなか風流でいいですね^^

投稿: vanilla | 2008年6月 9日 (月) 20時14分

私の住んでいるところは田舎ですので、近くの川では5月ごろから蛍が飛び交います。平家蛍か、姫蛍なんでしょう、か弱い光で頼りなげに飛んでいます。逆に儚げで風情があります。

今夜も夜の散歩で見て来ました、案外田んぼの横の水路なんかに群れていたりします。

家の周りにこんな場所があることを感謝しなければと思っています。

投稿: ロム | 2008年6月 9日 (月) 22時15分

小学生の頃、薄明かりの夕方。田んぼの横を流れる小川で光っているものを見つけ、「こっちのみ~ずはあ~まいぞ~♪」って良く歌いました。
現在も、地域の皆さんのお蔭で、蛍があちらこちらで見られるようになって来ました♪
子供達が小さい時に下部温泉の方で蛍祭りをしていたので、行ってみましたが、沢山のゲンジボタルが飛んでいました♪
今年ももう飛び始めてるかなあ?
私も、蛍の匂いかいでみたいです♪

投稿: すみれ色 | 2008年6月 9日 (月) 23時47分

蛍というと、私は、高校生のころの合唱部の合宿を想い出します。私の中の数少ない永遠のメルヘンの一つです。
山の中の小学校の分校に泊まったのです。夜に皆で散歩しました。巨大な宝石箱をひっくり返したような満天の星空、流れ星がいくらでも見えるのです。文字通り星以外には光源はないので真っ暗闇、いつの間にか、男女ペアで手をつないで話しながら広場へ向かいます。(そこで花火でもやったのかもしれませんが、そちらはまるで記憶にありません。)その道中で生まれて初めて蛍を見ました。ほんの数匹の点滅ですが、いかにも幻想的で、この光景は、手をつないで歩いた女の子の表情と共に脳裏に永久保存版でいつでも再生可能な状態で残っています。

投稿: joy | 2008年6月10日 (火) 02時12分

ロムさん

こんにちは♪
毎晩の散歩で蛍に出会えるなんてすばらしい環境にお住まいですね!
源氏蛍について調べたら、「日本で「ホタル」といえばこの種類を指すことが多く、もっとも親しまれているホタルである。」とありましたが、私の近くでもか弱い光で頼りなげに飛んでいく蛍ばかりで、なかなか出会えません

でも、今度はロムさんのように儚げな美しさを楽しむことにします^^

投稿: vanilla | 2008年6月10日 (火) 16時27分

すみれ色さん

こんにちは♪
すみれ色さんも小さい頃を自然が豊かな場所ですごされたのですね
麦秋のコメントにも、麦わらを切って、ブ~ブ~鳴らして遊んだ、と書いてくださいましたものね^^
蛍の匂いは気になるでしょ?
まど・みちおさんも
「あの匂いを表現することができたら、と思いますが、難しいことですね」
と書いてらっしゃるから、自分で嗅いでみないとわからないですね!
蛍の季節が終わらないうちに、蛍を見に行かなくちゃ^^

投稿: vanilla | 2008年6月10日 (火) 16時32分

joyさん

こんにちは♪
>永遠のメルヘンの一つです
joyさんも、蛍にまつわるとっても素敵な思い出を持ってみえるのですね

>手をつないで歩いた女の子の表情と共に脳裏に永久保存版でいつでも再生可能な状態で残っています。
保存されてる場所がすばらしいから、いつでも確かに再生してくれますね
満天の星空に暗闇に蛍、好きな女の子の表情それらが鮮明にいつでも見られるなんて
羨ましいです
私の蛍の思い出も、好きな人と一緒に見た思い出なんですよ!コッソリ^^

投稿: vanilla | 2008年6月10日 (火) 16時43分

私も生まれてこの方、まともに蛍を見たことがありませんでした。
一念発起、守山(滋賀県)に蛍を見に行ったのです。
守山は、蛍を増やそうと行政が努力している市で、蛍の乱舞を見たとき、
「ああ、これが火垂るの墓に出てきたホタルの乱舞か」と感慨深いものが
ありました。
何でも、百聞は一見に如かず、ですね。

もの悲しい、短い命。
燃やしたい、私たちの命。

秋葉原の事件を思う時、なぜかホタルが
オーバーラップする私なのです。

投稿: バンコ | 2008年6月11日 (水) 01時12分

バンコさん

おはようございます
お返事遅くなってごめんなさいcoldsweats01

守山に蛍を見に行かれたのは今年ですか?
場所によって、まだまだ蛍が乱舞する姿を見ることができるのですね
私の近くには源氏蛍が乱舞する、そんな場所がないので、私も一念発起しないと見にいけません
明日の夜は平家蛍の儚げな美しさを楽しみに行こうと思っています^^

秋葉原の事件は本当に惨い事件でしたね
ナイフで刺されたら消えてしまう儚い命だからこそ
大事にされなければならない命ですね!

投稿: vanilla | 2008年6月12日 (木) 10時27分

私が蛍を見たのはうんと大人になってから・・・
友達に穴場を教えてもらって車のハザードランプを
つけたらワ~と集まって来てくれました。
感動しました!!
vanillaさんのPrecious Moments は私を
懐かしいところに 連れ戻してくれます。 
ありがとうございます♪   (^o^)丿

投稿: きなこ | 2008年6月12日 (木) 20時09分

きなこさん

こんばんは♪
車のハザードランプを点けたら集まってくるって、
そういえば、聞いたことがあるような気がします
仲間だと思って寄ってくるんでしたよね・・・

きなこさんの懐かしいところに、
私もいる時があるかなぁ~?happy01

投稿: vanilla | 2008年6月12日 (木) 20時48分

vanillaさん、こんばんは。
初めて訪問させていただきました。

蛍ですか。
僕は、最後に蛍を見たのはいつだったのか思い出せないくらいずっと長い間見ていません。
田舎育ちだったので、子供の頃は当たり前のように見ていたのですが…。

僕にとって蛍といえば、村上春樹さんの短編小説『蛍』と、スピッツの「ホタル」という曲ですね。
蛍という言葉からは、「はかなさ」と「なつかしさ」を感じます。

投稿: ハートフィールド | 2008年6月16日 (月) 22時40分

ハートフィールドさん

いらしていただいてありがとうございます

村上春樹さんの『蛍』は読んでいませんが、スピッツの「ホタル」は知っています^^
スピッツの哀愁のあるメロディーで歌うにはぴったりの題材だなと思います
幼虫の間、土と水の中で棲息し、やっと成虫になってからは、水分だけを取りながら、わずか二週間で命が終わってしまう、そのわずかの間に光続ける蛍は、昔から人々の目に、はかなく哀しげに映ってきたのでしょうね
そして、今も変わらずに、私たちも同じように蛍を見ていますね
私も、はかなさと郷愁に似たなつかしさも感じます
私は、蛍といえば宮本輝さんの『蛍川』を思い浮かべました

コメントありがとうございましたhappy01

投稿: vanilla | 2008年6月17日 (火) 14時38分

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