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2009年1月18日 (日)

おくりびと

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まもなく、父が亡くなって2年目―3周忌を迎えます 
一昨年突然の入院から2週間、本当にあっけなく息をひきとりました 
職人気質の無口で頑固な人でしたが、逝く時までやはり無口なままでした 
祖父や祖母が亡くなったときは、おばあちゃん子だった私はただ哀しみにうちひしがれていましたが、却って父の時は葬儀の段取りなどで哀しみにくれているよりも慌ただしく疲労感がいっぱいでした 
そんな中で「湯灌の儀」は、家族だけが見守るなか一連の葬儀のなかで最も厳粛で高潔な感を抱いた儀式でした 
初めて目にする儀式でもありました 
父の亡き骸をていねいに清めてくれ、冥土への旅立ちの衣を着せ棺に納めていく流れは本当に見事な作業で感謝の念と感動さえ覚えました

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映画「おくりびと」はその納棺師をテーマにしたものです 
映画などめったに見ない母もこの映画だけは見たいというので昨年末一緒に観に行きました 
思っていた以上によく仕上がっていました 

主演の本木雅弘さんは、もともと個性的な演技力で好きな俳優さんの一人でしたが、納棺の儀式を執り行なう演技は見事な熱演で厳粛さも清らかさも余すところなく表現されており心動かされました 
子どもの頃、自分を捨てて家を出て行った父親の納棺の儀式を行うシーンは涙が溢れて止まりませんでした 
子どもの頃の思い出である河原での石ころの交換が、最後のクライマックスの伏線になっているのもすごい演出でした 
これで本木さんの上司を山崎努さんが演じているとなれば出来栄えがいいのは当たり前でしょうか 
妻役の広末涼子さんはあまり好きではない俳優さんでしたが、けっこう役柄にはまっていて見直しました 
そして何よりも「死」を扱いながら底流にコミカルなユーモア性が流れているのがこの作品をただ重いだけの暗い作品に仕立てなかった素晴らしさだと思います

父の死を改めて見つめ直させてくれたこの映画が日本アカデミー賞の13部門で優秀賞をとったことを、とてもうれしく思いました 

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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

去年見た映画のベストワンです
<おくりびと>
最初見に行く気なかったんですが
ブログ友達複数に勧められて
泣き、笑い、クスクス、色々こめられて
キネマ旬報の2008年ベストワン
アカデミー外国賞の9本まで選ばれて
なんとしても5本に選ばれて
もっくんにレッドカーペットを歩いてほしいです
もっくんの提案で進んだ映画なので
彼の醸し出す、すべての品のよさ
世界中に見て欲しいです
わが周辺の葬式では見たことありません
映画で初めて知りました

投稿: 夢見る夢子 | 2009年1月18日 (日) 13時58分

vanillaさん、こんにちは^@^
「おくりびと」、とても評判のよい映画のようですね。
残念ながら私は見ていません。
本木雅弘さんは大好きな俳優さんの一人です。
なぜ見ておかなかったのかと後悔しています。
今年はもっと映画館に足を運んで見たいと思います。

投稿: hiro | 2009年1月18日 (日) 14時12分

1枚目の写真の前ボケと後ボケも、3枚目のハイキーも、時間の流れ・奥行きと清らかさをよく表していますね。vanillaさんの取り組みの真摯さが伝わってきます。
祖父と祖母の一人ずつの葬儀に参列しましたが、その時のことを思い出しました。祖母の時は、僕に子供ができていた時で、泣くまいと思っていましたが、火葬場から帰った後のお勤めの時に涙がとまらなくなってしまいました。他の親族は涙を枯らした後、一人で泣いていました。あんなに泣いたことは人生でその時だけです。

投稿: 朝霧 圭太 | 2009年1月18日 (日) 18時45分

DVDになったら、ひっそりと独りで観るつもりです。
最近、この種の映画を公衆の前で鑑賞する勇気はありません。涙だけならまだしも、号泣する可能性が高いからです。実際、先に城山三郎夫人にまつわるTVドラマで、やはり嗚咽を抑えられませんでした。
喪主もしくはそれに近い立場の際に、ただ慌しく動き回り、悲しんでいる余裕がないのは、しかし、なかなかよくできているのかも。妻のケースでは、そりゃ、ドン底でしたが、挨拶やらなんやかや、やるべきことがたくさんで、その事実に向き合わなくて済みましたもの。直視することを余儀なくされたら、炉に飛び込んでいたかもしれません。
最もこたえたのは2年目。1年前の思い出に「もう、そのひとがいない」事実は胸に深く深く突き刺さるものでした。
3か月が過ぎた母の場合は、「去年の正月は一緒に初詣へ行ったんだったなあ~」などと想いつつ、しみじみと、じわっと、その喪失を感じる、きょうこの頃です。
この先、幾度か、「おくりびと」にならければなりません、世の習いとはいえ。

投稿: hiperk | 2009年1月18日 (日) 19時57分

こんばんは
私の周りもあちらに行く人が増えて寂しくなりました。
選ぶことは叶いませんが、自分の死に方を考える年になりました。
お父様のようにありたいのですが・・・
お身内とされましては、とてもつらく残念なことでしょうが・・・

映画、感動して見ました。
もっくんの演技にも感動、
このようなお仕事にも感動・・・
映画にできにも感動・・・邦画はいつも一緒に見に行くのですが、テーマを考えると共に見る気持ちにはなれず一人で行きました。
このような内容でしたら母を行けばよかった・・・と思いました。

投稿: shibata | 2009年1月18日 (日) 22時15分

夢見る夢子さん
こんばんは^^
<おくりびと> 2008年の映画ベストワンですか
私は邦画よりどちらかというと洋画のほうが好きなのですが、「おくりびと」は邦画の中では今まで観た中で上位にランクします
本木さんの提案で進んだ映画なのですか、初めて知りました
私もはじめはDVDがレンタルされるまで待とうと思っていたのですが、母が観たいというのでお供しました
映画館で観られて、本当によかったです
「伊右衛門」のCMと較べたら失礼ですが、道を究めるとか完璧主義な人柄が本木さんにはよく似合いますね
アカデミー賞もぜひ「外国映画」部門で賞をとってほしいものです

投稿: vanilla | 2009年1月19日 (月) 18時34分

hiroさん

こんばんは^^
hiroさんも本木雅弘さんお好きですか?
私は、昔の「シブがき隊」の頃はあまり好きではありませんでしたが、「シコふんじゃった。」以来大好きな俳優の一人になりました
映画館で観る映画はやはり迫力がありいいですよ!
昨年、私は平均月2回くらいは映画館に通っています
今年は週に一回行けたらなって思っていますhappy01
映画は私にとって、2時間の現実からの逃避でもあります(笑)

投稿: vanilla | 2009年1月19日 (月) 18時41分

圭太さん

こんばんは^^
父の三回忌に花でも、と思い
本当に久しぶりにマクロで撮ってみましたが、
なかなか思うように撮れなくて・・・
こんなんで大丈夫ですか?(自信ないんですぅ~)

>あんなに泣いたことは人生でその時だけです。
圭太さんもおばあちゃん大好きだったのですね
私も忙しい両親に代わって祖父母がよく遊んでくれました
だから、祖父の時も祖母の時も辛かったです
特に身近な人のはじめての死を経験したのが、祖父の死で、いつもあちこちに連れて行ってくれた祖父との思い出がよみがえって来て、お葬式の時は、目を泣き腫らしていました(u_u。)

投稿: vanilla | 2009年1月19日 (月) 18時45分

hiperkさん

こんばんは
>涙だけならまだしも、号泣する可能性が高いからです。
私、よくわかります
私も映画館でこういう映画を観るのは苦手です
泣くのを我慢しながら観なければならないから・・・
どうせなら、思い切り号泣したいですよね
泣いてはいけないと思いつつ観るのは、少し醒めていなければならないですものね

>喪主もしくはそれに近い立場の際に、ただ慌しく動き回り、悲しんでいる余裕がないのは、しかし、なかなかよくできているのかも。
はい。そうですね!
悲しみは葬儀が終わってからやって来ますね
私の場合は祖父、祖母、父・・・順番通りだよ、と言われればそうなわけで、
でも、hiperkさんの場合は奥さんだから、私では想像してもしきれないほどの苦しみ、辛さだったでしょうね
炉に飛び込んでいたかもしればいというhiperkさんの言葉に胸が熱くなりました
身近な人を亡くす悲しみは、その人といかに多くの時間を共に過ごしてきたかに比例するような気がします
いつもすぐ側にいてくれた人がもういない、想像しただけでも辛くなりますものね


DVDになったら、是非ごらんになってください
号泣しながら・・・

投稿: vanilla | 2009年1月19日 (月) 18時53分

shibataさん

こんばんは^^
私もここ数年近しい人が亡くなり、いろいろ考えさせられます
死に方だけは自分ではどうしようもありませんものね
父は病院で確かに苦しまずには逝ったのですが、薬で眠らされていてそれが理想的とは思えません
今はなかなか自分の家の畳の上で召されることは叶いませんね
映画「おくりびと」はどちらかというと偏見な目で見られがちな職業に対する価値観をも変えてくれるだけの内容の深さを持っていますね
山崎努さんや本木さんのまさに高潔な納棺の儀の演技力には心から拍手を送りたいです

母は映画館で映画を観るなんて、何十年ぶりだろう~ととっても喜んでいました
これからも母が観たい映画があれば連れて行ってあげたいなと思っています(o^-^o)

投稿: vanilla | 2009年1月19日 (月) 18時58分

こんばんは!

親族の死に介する機械が歳と共に増えてきました。
また、通人・知人の死・・・

私は10数年前に次男を亡くしました。
その時は号泣・・・涙が溢れて、洗面器一杯にたまるくらい流しました。

それは突然の死、

朝「行ってらっしゃい」と次男に見送られ、
次の再開は冷たくなった次男でした。

今、多くの人が自らの命を絶っています。
そして、「生きたい!」と願っていても、
病気等でその短い命を終わる子もいます。

人と人の絆、縁、自ら命を絶つ人は
その絆、縁を勝手に切っているのです。
身勝手きわまりない!

私の死に対する気持ちです。

人は生きるために、生きていると思います。

投稿: べあ坊 | 2009年1月20日 (火) 22時46分

べあ坊さん

お返事遅くなりました
私も、ここ数年の間、祖父母、父、叔父などを見送りました

でも、もし子供に先立たれたら・・・
辛いなんて言葉では言い表せないですね
私、べあ坊さんのお話お聞きしただけで涙がこみ上げてきます
もし、自分の子供に先立たれたら、私は生きていられるだろうか、と思うのです
今、母と別れるのなら、その悲しみは時間が癒してくれると思うのです
もう歳なので、ある程度私の中で覚悟に似た想いがあるような気がします
でも、子供のしかも突然の死など、どう受け止められるのでしょうね
受け止められないですよね・・・

それでも、やっぱり残された者は生きていかなければならないんですね・・・
べあ坊さんはどんな苦しみの中を生きてこられたのでしょうね
私なんかが想像しようとしても、到底無理ですね

そんなべあ坊さんが、自殺する人に対して、感じられる怒りは
とても重みがあります
私も若い命を自ら絶った、というニュースを聞く度に残念さや悲しみと同時に怒りも感じます
本当に、べあ坊さんがおっしゃったみたいに、生きていたいとどんなに願ってもかなわぬ命がたくさんあるのですものね・・・

投稿: vanilla | 2009年1月22日 (木) 17時18分

こんばんは。
お父様がお亡くなりになってもうすぐ3年目ですか。私の父は亡くなってもうすぐ14年になります。何度も危篤になりましたが寒い日でした。お通夜と葬儀は記録的な寒さでした。送る立場からだんだん送られる立場になって来ました。10歳年上の長兄から後の事は頼むぞと言われていますが、どちらが先に行くか分かりませんね!

投稿: シゲ | 2009年1月22日 (木) 23時25分

こんばんは!

>べあ坊さんはどんな苦しみの中を生きてこられたのでしょうね
>私なんかが想像しようとしても、到底無理ですね

亡くなってから、1年間は一緒に行ったところにはいけませんでした。思い出すのです。。。

その後3年間くらいは、今考えても異常でした。
ふと、思い出して、当然涙が溢れてきたり・・そんな日々でした。

私を救ってくれたのは、私が携わっていた障害者スポーツ関係、
悲しみを紛らわすために、休日の大半をそれらの活動に費やしました。

2年後、17回忌をむかえます。
今は悲しみが薄らいで、思い出すことも少なくなりましたが、
遺影を拭いたりするときなど、16才当時の姿が浮かんできます。

まだ、今でも、次男と一緒に行ったところには、行きたくないですね。

投稿: べあ坊 | 2009年1月23日 (金) 20時12分

シゲさん

私の父が亡くなったのも冬でしたが、特に寒かったとか
反対に冬にしてはとても暖かい日だったという記憶はありません
シゲさんは記録的な寒さであったそうですね
記憶に残るほどの寒い日であったということは、寒い日が来るたびにお父さんのことを偲ぶきっかけになりますね
私も母から「順番だから次は私の番だから後は頼んだわよ」と言われています
元気な母を見ていると複雑な想いです

投稿: vanilla | 2009年1月23日 (金) 22時06分

べあ坊さん

心の奥の辛い思い出を語っていただき
ありがとうございました。
感動と言えば失礼になりますが、私の心の琴線を震わせていただきました
べあ坊さんのコメントを読ませていただいて、次のブログも「人の死」について触れてみようと思います

投稿: vanilla | 2009年1月23日 (金) 22時10分

遅ればせながら、昨日テレビで見ました。
良かったし面白かった。何より脚本がいいように感じました。
1)vanillaさんも触れておられますが、河原の石。主人公が父の死を知らされた後、葬儀には出ないと行って走り出したものの妻に呼び止められるシーンがありましたが、その時に妻が石を取り出すと思いましたが、出しませんでした。がっかりしていると、最後のシーンで出てきて、「そうか、ここで出すために…」と納得しました。もちろん、その方がずっといい。
2)主人公が仕事を辞めたいと言いに来た時、雇い主が生きるには他者の死を利用して食わざるを得ない。同じ食うなら美味い方が良い旨の話をしますが、非常にありきたりに思いました。ところが、その後、その時食べていたものの味を聞かれて、「美味い。困ったことに」と答えた、この台詞のおかげでその前の話の陳腐さが吹き飛びました。「困ったことに」はクリスマスのシーンでも再び、それもコミカルに利用されていて、ちょっとうれしくなりました。
3)主人公に別の仕事に変わって欲しいと思っていた妻がその気持ちを変えたシーン。妻が納棺師の仕事を認める旨の台詞がありませんでした。もちろん、ないのが良かった!(広末涼子の台詞は少なければ少ないほど……、というのは別にしても)

 モッ君には、アカデミー賞受賞に満足することなく、新たな魅力ある役に挑戦してもらいたいとも思いました。

投稿: 朝霧 圭太 | 2009年9月22日 (火) 20時36分

圭太さん
こんばんは(o^-^o)
21日の「おくりびと」ご覧になったのですね
私は写真の整理をしてて、「おくりびと」が放映されているのを知らず見逃してしまいました
さすが、圭太さんですね
いろいろ細かいところまで見てらしゃいますね
「河原の石」は父親との思い出の象徴として映画全体に背骨のように重要な働きをしていますね
食事のシーンも「納棺」という神聖な儀式と対照的な「喰う」という行為を、しかもがつがつ「喰う」ことで作品に厚みを持たせているように思います
「納棺師」の仕事を生理的に受けつけなかった妻が心を変えていくシーンに台詞がなかったことはあまり覚えていませんが、ともすると「死」を職業とする人たちに対する偏見をうまく瓦解することになったでしょうね
本場アメリカでのアカデミー賞受賞は本当にうれしかったです
本木雅弘さんはとても存在感のある俳優さんです
『シコふんじゃった。 』を観た時、何て良い役者になったのだろう
と、驚いたのを覚えています
きっと、これからも素晴らしい演技を見せてくれるでしょうね

投稿: vanilla | 2009年9月24日 (木) 22時00分

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